「パッチワークの森づくり」の目指す将来像
市民参加の水土保全の森づくり
下のグラフは、農林水産省により行われた森へのニーズに関する林業者と消費者の意識調査です。
トップは両者とも「国土保全や水源涵養への配慮」を求めています。
ところが、林業者が「木材生産」を次に求めているのに対し、
消費者は「地球温暖化の防止」「動植物の保全」、そして「森林と人のふれあい」です。
今、私達は、生産を柱としながらも、人と自然に配慮した森づくりを求めています。
元気な森をつくろう ―目指している森のすがた―
森の中に光が差し込み、多様な下草が生え、ふかふかの土壌が保全された森が水源涵養力の高い健全な森です。
したがって、密植されるスギ・ヒノキ人工林では生長に応じて間伐が不可欠ですが、
現状では図のように間伐管理が遅れ、不健全なモヤシ林となっています。他の動植物の生息する余地が少なく、
台風などの災害に見舞われた場合、多くの被害を受けるリスクが高くなります。
そこで、本事業では「群状間伐」という間伐手法を取り入れました。局所的に伐採し、
森の林冠に穴を開けることにより、適度に光の入る場所を作ります。
そこには、広葉樹等の苗を植えることもできますし、もしくは、自然に生えてきた様々な植物を育てることもできます。
広さが小規模なので、市民活動に適しており、また、木立に囲まれた半日蔭の環境は、倒木の後にできた空間のように、植物の生長を助けます。
林冠に穴を開けるので、風も入り込みます。弱いスギ・ヒノキ林だと、さらに倒れる可能性もあります。しかしながら、安定した森を作るために必要ではないでしょうか。
開いた空間に何の樹木を育てるのか、それは、皆様の期待す
る、この空間の、そして、樹木の利用目的次第です。
様々な植物の保全、薪・炭の生産、家具や建築材の生産、そして、汗流し森とふれあう空間として、きっと、人と生き物の集う場所になるに違いありません。